灰になった練炭をむやみに蹴るな
君は
誰かに一度でも熱い人であったことがあるのか
──「君に聞く」より
韓国を代表する詩人アン・ドヒョン。
本作は著者による4作目の詩集となり、
NETFLIXドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』で朗読され話題となった、「練炭一つ」を収録。
日常生活が持つ細やかさ、
その反復性からくるもどかしさ、面倒さ、苦しさなどの情緒を
一度に思い出させてくれる一冊に仕上がっている。
この詩集に載ったほとんどの詩は、
二八六コンピューターで書き、
ドットプリンターでプリントアウトし、
封筒に入れた後に郵便で出版社に送ったものだ。
それは、韓国でインターネットが大衆化する
少し前のことだった
──「邦訳版 あとがき」より
原書が韓国で刊行され、約30年の時を迎えたことから、
著者自身によって当時を振り返ってもらった「邦訳版 あとがき」を特別収録。
広州事件以降、文学より切実な事柄があまりに多かった時代。
詩の力、言葉の力で、心を守り抜こうとした、
いまなお、読み継がれる韓国の代表的詩集が待望の翻訳刊行!