良家の娘であるアディには秘密があった。父親亡きあと、家計を助けるために拳闘のコラムを書いているのだ。彼女には伯爵であるフィッツウィリアムという許嫁がいるけれど、彼の義務感に頼って結婚してもらい、生活を安定させることは望んでいなかった。なぜなら、いくらアディが彼を愛そうとも、放蕩者の彼には愛してもらえないとわかっていたからだ。自分を望んでくれる相手と結婚しよう……そう決意したアディが、身分はよくても退屈な男と婚約したとき、なんと意外な提案をフィッツウィリアムから持ちかけられる。それは、彼女の婚約破棄をかけたもので……。